数理情報学特別講義 Ⅳ

2020

確率細胞現象の数理

イメージングやシーケンシングなど複雑な生命システムの動態を定量的に計測・解析できるようになっていることを背景に、そのデータを理解するために生命科学において数理が果たす重要性が大きく高まっている。

本授業では、細胞を単位とした生体システムを扱う数理的な手法や関連するトピックを概説する。 特に細胞の確率的な挙動を扱うための数理的手法に重点をおき、様々な内因的・外因的ノイズを抱える細胞システムにおける非線形ダイナミクスと情報処理、そして細胞集団による進化の問題を取り扱う方法論を示す。

数理的な側面としては、力学系、分岐、Master方程式、Fokker-Planck方程式、確率微分方程式、点過程、拡散過程、分岐過程、経路積分、非平衡統計物理、情報理論、最適制御、情報幾何、強化学習などをが扱われる。

理論を応用する生物学的現象としては、遺伝子発現ゆらぎ、選択的な細胞応答、細胞の運命決定、発生と位置情報処理、細胞走性と空間方向感知、確率環境下での増殖・進化、などを取り上げる予定である。

講義予定内容とスケジュール

  • 2020/April/07:ガイダンス
  • Introduction:確率的な細胞現象とその数理
  • 確率的細胞内反応ダイナミクスの点過程によるモデリング
  • 化学マスター方程式に基づく分布の時間発展の記述とノイズ励起現象
  • マスター方程式のCumulant展開と遺伝子発現ネットワークにおけるゆらぎ・フィードバックの流れ
  • 化学ランジュバン方程式とその経路積分。ノイズによるマクロダイナミクスの発現
  • 確率的な生体内システムの情報理論的理解
  • 情報復号と細胞によるゆらぎの中での運命決定
  • Filtering Theoryによる細胞確率的情報処理の細胞走性
  • 表現形ゆらぎと細胞増殖。熱力学的変分原理と大偏差理論の応用
  • 表現形選択と情報の進化的価値。進化と情報のゆらぎ定理
  • 生体情報処理における数理的課題
  • レポート課題

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