数理情報学特別講義 Ⅳ
2022
確率生命現象と情報処理の数理:ダイナミクス・情報処理・学習・進化
システム生物学や神経科学に代表されるように、複雑な生命システムの動態、特にその確率的な性質や情報処理機構を解析・理解するために数理が果たす重要性は、近年大きく高まっている。
本授業では、細胞を単位とした生体システムの確率動態と情報処理的な側面を扱うための数理的手法や関連するトピックを概説する。
現象としては細胞表現型の確率的変化、その確率性の原因となる様々な内因的・外因的ノイズ、ノイズを抱えながら様々な情報処理を実現する非線形ダイナミクス、過去の経験から個々の細胞や個体レベルで適応する学習現象、そして細胞や個体の集団による進化的な適応の問題を取り扱う。
数理的な側面としては、化学反応論、力学系、分岐、点過程、拡散過程、Master方程式、Fokker-Planck方程式、確率微分方程式、経路積分、非平衡熱統計物理、情報理論、情報幾何、学習理論、進化理論などのトピックが含まれる。
理論を応用する生物学的現象としては、遺伝子発現ゆらぎ、選択的な細胞応答、細胞の運命決定、発生と位置情報処理、細胞走性と化学勾配感知、確率環境下での増殖・進化、などを取り上げる予定である。
なお必須ではないが、より生物的な側面に重点をおき決定論的なモデリングに限定した、理論生物学 (S1:火4:0560540, 47240-45)も合わせて受講することを勧める。
ガイダンス:履修に向けた手続き
履修とZoomでのオンライン授業参加のために以下の設定をお願いします:
東大生はUTACのアカウントでZoomにログインしてください(やり方)。
初回のZoomの接続情報は、ITC-LMSにアップしてあります。
聴講の方で東大UTACアカウントを持っていない人は個人のZoomアカウントで構いません。
授業の情報共有およびトピックの選定行う関係で、アンケート(授業中にチャットでリンクは伝えます)にお答えください。
参加希望の方は授業に参加いただくか、個別にメールをいただければ対応します。
ガイダンスに出れなかった人は、ITC-LMSに上記アンケートのリンクをおいてあるのでそちらを御覧ください
履修関係(聴講の方は不要です)
資料
下記の講義予定内容のところに本日資料のリンクがあります。ダウンロードしてください(PWはzoom内で連絡します)。
講義予定内容とスケジュール
2022/April/05:13:00~:ガイダンス
2022/April/12: 東大入学式のため非授業日
2022/April/19:13:00~ : 確率的細胞内反応ダイナミクスの点過程によるモデリング (レジュメ1、スライド:04/17up)
2022/April/26:13:00~ : 化学マスター方程式に基づく分布の時間発展の記述とノイズ励起現象(レジュメ2, スライド:04/24 up)
2022/May/10:13:00~ : Cumulant展開と遺伝子発現ネットワークにおけるゆらぎ・フィードバックの流れ(レジュメ3, スライド:05/08 up)
2022/May/17:13:00~: 化学フォッカープランク方程式とランジュバン方程式。ノイズによるマクロダイナミクスの発現・経路積分表現(レジュメ4、レジュメ5, スライド:05/15 up)
2022/May/24:13:00~ :確率的な生体内システムの情報理論的理解 (レジュメ6, スライド:05/22 up)
2022/May/31:13:00~ :情報復号と細胞によるゆらぎの中での運命決定 (レジュメ7、スライド:05/28 up)
2022/June/07:13:00~ :Filtering Theoryによる細胞確率的情報処理の細胞走性 (レジュメ8、スライド:06/05 up)
2022/June/14:13:00~: 表現形ゆらぎと細胞増殖。熱力学的変分原理と大偏差理論の応用 (レジュメ9, スライド:06/12 up)
2022/June/21: 休講
2022/June/28:13:00~: 表現形選択と情報の進化的価値。進化と情報のゆらぎ定理 (レジュメ10、スライド:06/26 up)
2022/June/28:13:00~: 生体情報処理における数理的課題
レポート課題 (06/12 up)
*:進み具合によっては一部省略や順序の変更をする場合がある。
各種マテリアル (授業アンケートで登録したECCS or gmailアカウントでアクセス可能):
レジュメ(2022ver):各授業内容ごとにリンクされています
スライドPDF:各授業前に上記リンクされます
動画:こちらのリンクからたどってください