理論生物学
2022/ S1
細胞システムとダイナミクス:数理解析から情報学的なアプローチまで
イメージングやシーケンシングなど複雑な生命システムの動態を定量的に計測・解析できるようになっていることを背景に、そのデータを理解するために数理が生命科学において果たす重要性が大きく高まっている。
本授業では、その基礎となる細胞を単位とした生体システムを扱う数理的な手法や関連トピックを概説する。
細胞システムの数理モデルの理解と解析に不可欠な反応速度論やそれを応用した生体機能の理論解析の例、またデータから細胞の動的な性質を見出す情報学的な手法などについても概説する。
対象とする細胞機能としては、細胞の運命決定、分子認識、環境シグナル感知、細胞記憶、細胞振動現象、外環境への適応、内因的変動へのロバスト性などの問題を扱う。
具体的な実験的知見は主に単細胞生物のそれを紹介するが、関連する多細胞生物の現象についても言及する予定である。
ガイダンス・履修に向けた手続き
履修とZoomでのオンライン授業参加のために以下の設定をお願いします:
東大生はUTACのアカウントでZoomにログインしてください(やり方)。
初回のZoomの接続情報は、ITC-LMSにアップしてあります。
聴講の方で東大UTACアカウントを持っていない人は個人のZoomアカウントで構いません。
授業の情報共有およびトピックの選定行う関係で、アンケート(授業中にチャットでリンクは伝えます)にお答えください。
参加希望の方は授業に参加いただくか、個別にメールをいただければ対応します。
ガイダンスに出れなかった人は、ITC-LMSに上記アンケートのリンクをおいてあるのでそちらを御覧ください
履修関係(聴講の方は不要です)
資料
下記の講義予定内容のところに本日資料のリンクがあります。ダウンロードしてください(PWはzoom内で連絡します)。
講義内容とスケジュール
以降、下記よりトピックを受講者のバックグラウンドなどを考慮して選択する(理論生物・生物情報学的トピックを半々くらいで取り上げる):
今年度取り上げないトピックの一部については、前年度講義動画のオンデマンドマテリアルも受講者には提供する。
【理論生物学的トピック】
反応速度論・微分方程式・フィードバックループ・反応の物理化学
反応過程の縮約と実効的方程式(Michaelis-Menten, Hill 方程式)
細胞反応と非線形応答と細胞の分子認識(シグナル伝達系・免疫応答)
非線形応答と非平衡性(非線形応答の熱力学的コスト)
細胞の記憶と多安定状態(遺伝子発現スイッチ)
振動現象と負のフィードバック(概日リズム)
動的な入力への細胞応答(動的入力に誘導される細胞分化)
環境変動への適応と化学走性(完全適応)
パラメータ変化へのロバスト性(温度補償現象)
分子濃度変化に対するロバストネス(絶対濃度補償性)
自己複製にともなう拘束と普遍性(細胞の成長則)
【生物情報学的トピック】
イメージングデータからダイナミクスを推測する(隠れ状態推定の原理と応用)
scRNAseqデータからダイナミクスを推測する(RNA velocityの原理と応用)
グラフ上のダイナミクスと生体情報への応用(非ユークリッド低次元化・クラスタリング)
本年度のスケジュール(予定)
2022/Apr/05:ガイダンス (スライド)
2022/Apr/05:化学反応方程式・グラフ上のダイナミクス(スライド)
2022/Apr/12:入学式のため非授業日
2022/Apr/19:反応過程の縮約、実効的方程式(Michaelis-Menten, Hill 方程式) (スライド, 04/17up)
2022/Apr/19:細胞反応と非線形応答前半 (スライド, 04/17 up)
2022/Apr/26:細胞反応と非線形応答後半(スライド, 04/24up)・細胞の分子認識(スライド, 04/24 up)
2022/May/10:グラフ上のダイナミクスと生体情報への応用(非ユークリッド低次元化・クラスタリング)(スライド, 05/08 up)
2022/May/17:scRNAseqデータからダイナミクスを推測する(RNA velocityの原理と応用) (スライド, 05/15 up)
2022/May/24:環境変動への適応と化学走性(完全適応) (スライド, 05/19 up)
2022/May/31:分子濃度変化に対するロバストネス(絶対濃度補償性) (スライド, 05/19 up)
レポート課題 ( レポート, 05/29 up)
各種マテリアル
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