理論生物学
2024/ S1
細胞システムとダイナミクス:数理解析から情報学的なアプローチまで
生体は、その素過程である細胞レベルから多様なダイナミクスと様々な機能を有する。
近年イメージングやシーケンシングの発展によりこれらの動態を定量的に計測・解析できるようになっていることを背景として、複雑な細胞や細胞集団のダイナミクスを理解するための数理が生命科学においてますます重要になっている。
本授業では、その基礎となる細胞を単位とした生体システムの数理解析手法と関連トピックを概説する。
細胞システムの数理モデルの理解と解析に不可欠な反応速度論、そしてそれを応用した生体機能の理論解析の例として、非線形応答やロバスト性、自己複製に付随する普遍則などを扱う。
またデータからの細胞動態の推定は、バイオインフォマティクスにおいても重要な課題になってきている。これらに関連する分化動態解析やRAN velocity、そして発生ランドスケープ解析についても解説する。
ガイダンス・履修に向けた手続き
履修とZoomでのオンライン授業参加のために以下の設定をお願いします:
東大生はUTACのアカウントでZoomにログインしてください(やり方)。
授業の情報共有およびトピックの選定行う関係で、アンケート(授業中にチャットでリンクは伝えます)にお答えください。
参加希望の方は授業に参加いただくか、個別にメールをいただければ対応します。
ガイダンスに出れなかった人は、ITC-LMSに上記アンケートのリンクをおいてあるのでそちらを御覧ください
履修関係 (聴講の方は不要です)
資料
下記の講義予定内容のところに本日資料のリンクがあります。ダウンロードしてください(PWはzoom内で連絡します)。
講義内容とスケジュール
初回(4月9日)は以下を行う
1: ガイダンス,
2: 細胞システムのダイナミクスと機能:数理と情報の観点から(Introduction)
以降、下記よりトピックを受講者のバックグラウンドなどを考慮して、理論生物的トピックと生物情報学的トピックがある程度バランスするように選択します:
今年度取り上げないトピックの一部については、前年度講義動画のオンデマンドマテリアルも受講者には提供します。
【理論生物学的トピック】
反応速度論・微分方程式・フィードバックループ・反応の物理化学
反応過程の縮約と実効的方程式(Michaelis-Menten, Hill 方程式)
細胞反応と非線形応答と細胞の分子認識(シグナル伝達系・免疫応答)
非線形応答と非平衡性(非線形応答の熱力学的コスト)
細胞の記憶と多安定状態(遺伝子発現スイッチ)
振動現象と負のフィードバック(概日リズム)
動的な入力への細胞応答(動的入力に誘導される細胞分化)
環境変動への適応と化学走性(完全適応)
パラメータ変化へのロバスト性(温度補償現象)
分子濃度変化に対するロバストネス(絶対濃度補償性)
自己複製にともなう拘束と普遍性(細胞の成長則)
【生物情報学的トピック】
イメージングデータからダイナミクスを推測する(隠れ状態推定の原理と応用)
細胞集団のモデリングとエピジェネティックランドスケープ (ランドスケープ推定の原理と応用)
scRNAseqデータなどからの発生動態推定(RNA velocityの原理と応用)
scRNAseqデータなどからのランドスケープ推定
グラフ上のダイナミクスと生体情報への応用(非ユークリッド低次元化・クラスタリング)
分子情報のインフォマティクス (graph neural network, transfomerなど)
本年度のスケジュール(未確定版)
2024/Apr/09:ガイダンス、細胞システムのダイナミクスと機能:数理と情報の観点から(Introduction)
2024/Apr/16:
2024/Apr/23:
2024/Apr/30:
2024/May/07:月曜日授業の振替日のため授業は無し。
2024/May/14:
2024/May/21:
2024/May/28:
レポート課題 :
リンク
参考資料:2021年度, 2022年度, 2023年度の資料と動画へのリンク
注:各種マテリアルは、初回ガイダンスでのECCS or gmailアカウント登録後にアクセス可能になります
2023年度スライド資料内容
化学反応方程式・グラフ上のダイナミクス
反応過程の縮約と実効的方程式、細胞反応の非線形応答
環境変動への適応と化学走性・完全適応
分子濃度変化に対するロバストネスと絶対濃度補償性
グラフ上のダイナミクスと生体情報への応用
scRNAseqデータからダイナミクスを推測するRNA velocityの原理と応用
分子情報のインフォマティクスとグラフ理論 & 非平衡化学反応の幾何学
2022年度スライド資料内容
化学反応方程式・グラフ上のダイナミクス
反応過程の縮約、実効的方程式(Michaelis-Menten, Hill 方程式)
細胞反応と非線形応答前半
細胞反応と非線形応答後半・細胞の分子認識
グラフ上のダイナミクスと生体情報への応用(非ユークリッド低次元化・クラスタリング)
scRNAseqデータからダイナミクスを推測する(RNA velocityの原理と応用)
環境変動への適応と化学走性(完全適応)
分子濃度変化に対するロバストネス(絶対濃度補償性)
各種マテリアルは、初回ガイダンスでのECCS or gmailアカウント登録後にアクセス可能になります
2021年度スライド資料内容
反応速度論・微分方程式・フィードバックループ・反応の物理化学
反応過程の縮約と実効的方程式(Michaelis-Menten, Hill 方程式)
細胞反応と非線形応答と細胞の分子認識(シグナル伝達系・免疫応答)
環境変動への適応と化学走性(完全適応)
分子濃度変化に対するロバストネス(絶対濃度補償性)
自己複製にともなう拘束と普遍性(細胞の成長則)
各種マテリアルは、初回ガイダンスでのECCS or gmailアカウント登録後にアクセス可能になります