公募情報(抜粋) 2020/09

公募の条件の正式な情報は下記になります。

(2020/10/19更新) CREST 「構造的・動力学的制約を活用した多元混合化学情報の解読とその応用 」の情報が公開になりましたので、その点を下記に補足として加えました。

1. 公募概要(抜粋)

  1. 職名・採用人数:特任研究員 もしくは 特任助教 最大2名

  2. 勤務形態:常勤(特定有期雇用教職員)

  3. 所属:東京大学生産技術研究所 定量生物学研究室(小林徹也研究室)

  4. 勤務場所: 東京都目黒区駒場4-6-1

  5. 業務内容: データ解析と数理モデリングの方法論を融合して、 生体における適応現象や情報処理の理解や制御・予測を目指す研究に従事いただきます。生物系の知識や研究経験は問いません関連する主なプロジェクトは以下の様になっています。:

    1. ライブセルオミクスによる細胞状態推定とダイナミクスの理解(若本CREST共同研究)

    2. 嗅覚系における匂いの認知機構の数理情報学的理解とその応用(JST CREST研究 & 味の素 共同研究)

    3. 適応免疫系の抗原認識・抗原記憶の数理情報学的理解とその応用 (JST CREST研究)

  6. 応募資格

    1. 原則として博士の学位を有する者(募集時点で学位取得見込みを含む)

    2. 原則として、採用日現在において博士学位取得後5年未満の者(ただし応相談)

    3. 博士後期課程教育もしくは研究経験を有し、データ解析もしくは数理解析のいずれかにおいて研究を遂行できる能力のあるもの。

      • ※ 応募時点での生命科学系の研究経験・教育は問わない。

      • ※ 候補者の経験・能力・実績に応じ、特任助教での雇用も検討する。

  7. 任期

    1. 採用日は、2021年4月1日以降のなるべく早い時期

      • ※雇用契約は年度ごとで、予算の状況、従事している業務の進捗状況、契約期間満了時の業務量、勤務成績、勤務態度、健康状況等を考慮のうえ契約を更新する場合がある。試用期間あり(6か月)

      • ※着任時期は応相談可(採用日よりも早いものも遅いものも)

  8. 給与

    1. 月額30万円~43万円(経験による)

      • ※下限の月額30万円は応募資格を完全には満たさない申請者を想定して設定しています。情報系・数物系、データサイエンス研究に実績のある申請者は月額35万円~43万円で考えています。

2. 業務内容の追加情報

(1) ライブセルオミクスによる細胞状態推定とダイナミクスの理解

細胞の"状態"は細胞内の遺伝子発現や代謝状態の総体として定まります。遺伝子発現や代謝を網羅的に計測可能なオミックス技術は細胞の状態を1細胞レベルで包括的に解析できる重要な技術ですが、破壊的計測のため、個々の細胞の"状態"の変化を捉えられないという問題があります。

我々は、小林・若本らが報告したトランスクリプトームとラマン計測の対応関係 (bioRxiv版)を発展させ、ラマン計測情報からオミクスの変動情報を予測するライブセルオミックス技術を確立することを目指します。ライブセルオミクスは、非破壊的なラマンによる細胞の経時計測から細胞内のオミクス状態を推定する技術を指します。

特に我々は「なぜオミクス情報とラマン計測情報が対応しうるのか」「その背後にある構造は何か?」を統計学・機械学習・学習理論の立場から明らかにし、それをよりよい予測手法の構築につなげることを目指します。またこの様な対応が生まれる生物学的メカニズムを自己複製系の数理解析も合わせて探求します。そして、ライブセルオミックス技術を細胞の薬剤耐性現象に応用することで、その有効性を検証していきます。

この研究は、若本CRESTプロジェクト(2019/10~2024/03)の一環として、若本研・宮本研との共同研究で行います。

(2) 数理・情報融合による嗅覚系・免疫系の分子認識機構の理解と予測

生体は環境から、極めて複雑かつ多様な化学物質の情報を受け取り認識・処理することで、複雑な細胞応答・分化経路の選択(シグナル伝達系)、様々な匂いの認識(嗅覚系)、そして多様な病原体の認識(免疫系)などを行っています。そしてこの情報は、多種の受容体や多種の細胞によって分散的に担われています。

本研究ではこの分子認識の情報処理過程を理解し、多元入出力関係の予測につなげる理論やデータ解析法の構築を目指します。嗅覚系・免疫系は、多種の受容体が取得した分散情報をさらにランダムprojectionにより高次元の空間に射影し、そこから化学物質の共通性や分類を行っているという性質があります。このような化学物質認識に特有な情報処理ネットワーク構造の機能を理解するとともに、新たなデータ解析方法につなげます。

またこれらの理論予測は、並列したシグナル伝達系の同時イメージング、嗅覚受容体の網羅的応答データ、そして免疫受容体多様性のシーケンスデータなどを用いて検証します。

この研究は、JST CRESTプロジェクト(2020/11~2025/03) および 部分的に(株)味の素との共同研究の一環として行います。

3. その他の情報

定量生物学研究室については、https://research.crmind.net を参照ください。

質問については、tetsuya アット sat.t.u-tokyo.ac.jp にて受け付けております。

当研究室は過去10年間に計7名の研究者を特任研究員・特任助教として受け入れています。

その多くが他分野から参入しました。具体的には、理論物理学、医療画像工学、理論神経科学、生物物理学、応用数理などです。これらの方々はこれまでに、学振PD、助教(非特任) x 2、特任准教授、政府系研究所 主任研究官(講師・准教授相当)などに転出しています。

また現在定量生物学研究室には、数理情報学(情報理工系)、生物情報学、工学(電気系)、物理などの分野からの博士前期・後期課程の学生が在籍しており、学生らと協働して研究を進めていただきます。

現在および過去のメンバーについては、https://research.crmind.net/about.html を参照ください。