公募情報(抜粋)

公募の条件の正式な情報は下記になります。

1. 公募概要(抜粋)

  1. 職名・採用人数:特任研究員 もしくは 特任助教 最大2名

  2. 勤務形態:常勤(特定有期雇用教職員)

  3. 所属:東京大学生産技術研究所 定量生物学研究室(小林徹也研究室)

  4. 勤務場所: 東京都目黒区駒場4-6-1

  5. 業務内容: 数理モデリングとデータ解析の方法論を融合して、 生体における適応現象や情報処理の理解や制御・予測を目指す研究に従事いただきます。数理、物理、情報、神経科学、生物情報、工学、生命など多様なバックグラウンドからの応募を歓迎します。 生物系の知識や研究経験は問いません関連する主なプロジェクトは以下の様になっています。:

    1. 生体が多様な化学分子の混合情報を処理する機構の理解と応用(嗅覚系、免疫系、シグナル伝達系など)

    2. 生体の適応的情報処理の情報物理学的な理解

    3. ライブセルオミクスによる細胞状態推定とダイナミクスの理解

  6. 応募資格

    1. 原則として博士の学位を有する者(募集時点で学位取得見込みを含む)

    2. 原則として、採用日現在において博士学位取得後年未満の者(ただし応相談)

    3. 博士後期課程教育もしくは研究経験を有し、数理解析もしくはデータ解析のいずれかにおいて研究を遂行できる能力のあるもの。

      • ※ 応募時点での生命科学系の研究経験・教育は問わない。

      • ※ 候補者の経験・能力・実績に応じ、特任助教での雇用も検討する。

  7. 任期

    1. 採用日は、2021年4月1日以降のなるべく早い時期

      • ※雇用契約は年度ごとで、予算の状況、従事している業務の進捗状況、契約期間満了時の業務量、勤務成績、勤務態度、健康状況等を考慮のうえ契約を更新する場合がある。試用期間あり(6か月)

      • ※着任時期は応相談可(採用日よりも早いものも遅いものも)

  8. 給与

    1. 月額30万円~45万円(経験による)

      • ※下限の月額30万円は応募資格を完全には満たさない申請者を想定して設定しています。情報系・数物系、データサイエンス研究に実績のある申請者は月額35万円~45万円で考えています。

2. 業務内容の追加情報

現在、定量生物学研究室では下記のテーマを進めています。

候補者の経験や能力に応じ、以下の1〜2個のテーマに従事していただくことを期待しています。

なお関連キーワードは各テーマと様々な分野との接点を示すために挙げており、実際にはご自身の研究と2個程度のキーワードとに関連が見いだせれば研究遂行上は問題ありません。

(1) 生体が多様な化学分子の混合情報を処理する機構の理解と応用

生体は環境から、極めて複雑かつ多様な化学物質の情報を受け取り認識・処理することで、複雑な細胞応答・分化経路の選択(シグナル伝達系)、様々な匂いの認識(嗅覚系)、そして多様な病原体の認識(免疫系)などを行っています。そしてこの情報は、多種の受容体や多種の細胞による交差応答やクロストーク反応によって分散的に担われています。

本研究ではこの分子認識の情報処理過程を理解し、多元入出力関係の予測につなげる数理理論やデータ解析法の構築を目指します。嗅覚系・免疫系は、多種の受容体が取得した分散情報をさらにランダムprojectionにより高次元の空間に射影し、そこから化学物質の感知や共通性の分類を行っているという性質があります。このような化学物質認識に特有な情報処理ネットワーク構造の機能を数理的・物理化学的に理解するとともに、その性質を活用して新たなデータ解析方法につなげます。また、このようなシステム全体の構造を、グラフネットワーク構造やトーリック系に基づく化学反応系の代数理論としてとらえることも進めます。

これらの理論から得られた予測は、並列したシグナル伝達系の同時イメージング、嗅覚受容体の網羅的応答データ、そして免疫受容体多様性のシーケンスデータなどを用いて検証します。また最適な交差応答の設計理論やその化学センサーアレイ設計への応用も予定しています。

この研究は、JST CRESTプロジェクト(2020/11~2025/03) および 部分的に(株)味の素との共同研究の一環として行います。


関連キーワード:化学反応モデリング、Chemical network theory、多元情報理論、圧縮センシング、アクティブセンシング、計算代数学、トーリック多様体、ケモインフォマティクス、グラフ畳み込みネットワーク、ネットワーク解析、時系列解析、情報ボトルネック、1分子計測、次世代シーケンス解析、GPCR、嗅覚、免疫レパトア

(2) 反応・1細胞・細胞集団における適応・学習現象の情報物理的理解

細胞のシステムは環境からのシグナルを受容し、表現型や運動など様々な応答をし、場合によっては環境にも働きかけます。

この感知と応答のループにより成立する1細胞レベルの適応・学習過程を、情報理論最適制御・学習理論の立場から明らかにします。またマルチエージェント学習理論 ゲーム理論など活用することで、集団レベルでの適応や学習にも取り組みます。一方これらの適応・学習応答は、化学反応様々な機能(微分演算、積分演算、分子認識ノイズ・摂動耐性、自己複製ほか)により実現されています。このような機能を実装するために必要なネットワークの構造や、機能性に伴って不可避に必要となる熱力学的なコストとの定量的関係を解明することに取り組みます。

理論から予測される制御構造や定量的性質などは、大腸菌や細胞性粘菌の化学走性系、細胞のシグナル伝達系などの定量実験計測を元に、逆強化学習などの手法を組み合わせて、検証することを目指します。

この研究は、新学術領域「生命現象の情報物理学」プロジェクト(2019/06~2023/03)の一環として行います。


関連キーワード:最適制御、強化学習、情報理論、計算論的神経科学、マルコフ決定過程、統計的決定理論、逆強化学習、集団ゲーム、確率ゲーム理論、細胞運動、勾配感知、アクティブマター、マルコフ過程、確率熱力学、情報熱力学、線形代数、マトロイド、点過程、ネットワーク理論、通信理論、1分子計測、完全適応、濃度補償性

(3) ライブセルオミクスによる細胞状態推定とダイナミクスの理解

細胞の"状態"は細胞内の遺伝子発現や代謝状態の総体として定まります。遺伝子発現や代謝を網羅的に計測可能なオミックス技術は細胞の状態を1細胞レベルで包括的に解析できる重要な技術ですが、破壊的計測のため、個々の細胞の"状態"の変化を捉えられないという問題があります。

我々は、小林・若本らが報告したトランスクリプトームとラマン計測の対応関係 (bioRxiv版)を発展させ、ラマン計測情報からオミクスの変動情報を予測するライブセルオミックス技術を確立することを目指します。ライブセルオミクスは、非破壊的なラマンによる細胞の経時計測から細胞内のオミクス状態を推定する技術を指します。

特に我々は「なぜオミクス情報とラマン計測情報が対応しうるのか」「その背後にある構造は何か?」を統計学・機械学習・学習理論の立場から明らかにし、それをよりよい予測手法の構築につなげることを目指します。またこの様な対応が生まれる生物学的メカニズムを自己複製系の数理解析も合わせて探求します。そして、ライブセルオミックス技術を細胞の薬剤耐性現象に応用することで、その有効性を検証していきます。

この研究は、若本CRESTプロジェクト(2019/10~2024/03)の一環として、若本研・宮本研との共同研究で行います。


関連キーワード:低次元化、機械学習、多様体学習、高次元統計、隠れマルコフモデル、深層学習、大自由度力学系、トランスクリプトーム、プロテオーム、ラマン分光。

3. その他の情報

定量生物学研究室については、https://research.crmind.net を参照ください。

質問については、tetsuya アット sat.t.u-tokyo.ac.jp にて受け付けております。

当研究室は過去10年間に計7名の研究者を特任研究員・特任助教として受け入れています。

その多くが他分野から参入しました。具体的には、理論物理学、医療画像工学、理論神経科学、生物物理学、応用数理などです。これらの方々はこれまでに、学振PD、助教(非特任) x 2、特任准教授、政府系研究所 主任研究官(講師・准教授相当)などに転出しています。

また現在定量生物学研究室には、数理情報学(情報理工系)、生物情報学、工学(電気系)、物理などの分野からの博士前期・後期課程の学生が在籍しており、学生らと協働して研究を進めていただきます。

現在および過去のメンバーについては、https://research.crmind.net/about.html を参照ください。